ケアコム Carecom Smile

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日本赤十字社 水戸赤十字病院様

「アオキさんじゃなくてオオキさん!?」
医療現場で多い患者誤認をはじめとする、
誤認を防ぐことの重要性を伝えるために
『誤認あるある事例集』を作成

本ページの内容は、2016年より開始した制作時の情報に基づいています。
作成ツール誤認あるある事例集
ケアコムでは病院様と協働で、病院様の課題解決に役立つ各種ツールを作成しています。今回は医療現場での誤認から実際に起きたトラブルを集めた事例集です。誤認を防ぐことの重要性を職員様に理解してもらうために、ほぼすべてのページで4コマのイラストを用いながら、たくさんの事例をわかりやすく紹介しました。
ダウンロードいただき、皆様の施設でもぜひご活用ください。

看護部の志賀師⻑から「誤認」をテーマにした事例集を
作成してほしいとのご要望をいただきました。

医療現場での代表的な誤認は「患者誤認」による事故です。たとえば患者さんの情報を、同性の別の患者さんのカルテに⼊⼒してしまい、治療やケアに影響が出てしまうケースや、検体のラベルを貼り間違えたために不正確な検査結果が出てしまうケースなど。また、患者さんの治療やケアに直接関わらない職種にも起こり得ます。事務職員が問診票の管理を誤ったために患者さんが正しい治療を受けられなかったり、栄養⼠が患者誤認をしたまま⾷事を作り、アレルギー⾷を提供してしまったり……。医療現場ではさまざまな場⾯で誤認が起きています。

当院では、誤認をなくすために職員向けの研修なども⾏っていますが、それでも誤認をゼロにすることは困難です。そこで、職員⼀⼈ひとりにより⾃分ごととして捉えてもらえるような、わかりやすいツールがほしいと考えました。⽂字だけの資料ではイメージがしにくいと思ったため、イラストなどをふんだんに使⽤した誤認防⽌のツールを作成することにしました。

4コマのイラストで単に事例を掲載するだけではなく、職員様が理解しやすいように、基礎知識の解説や⽤語のまとめページも設けました!

編集・イラスト
石川 富雄
環境整備支援ユニット

編集
永松 英示
環境整備支援ユニット
リーダー

「間違い」「間違う」「間違える」の意味は?
ヒューマンエラーはなぜ起きるの?
誤認を根本から理解して防ぐために
正しい知識を具体的に解説

永松

誤認は医療の現場に限らず、あらゆる場⾯で起こります。たとえば、⾞を運転しているときにアクセルとブレーキを踏み間違えるなど、ちょっとしたミスが悲惨な事故につながってしまうこともあります。⼈は、誰にも気づかれないようなものから周りを巻き込むような⼤事なものまで、⽇々数えきれないほどの間違いを起こします。その中でも医療現場においての間違いは、直接的に⼈命に関わる可能性が⾼いため、特に注意が必要です。

今回の事例集の最優先事項は、職員様に誤認を防ぐことの重要性を伝えること。そのため、誤認の事例を紹介する前に、⼤前提として「間違える」とはどういうことなのかを理解してもらうことが必要だと考えました。
そこで、『間違えるということ』『ヒューマンエラー』という解説ページを事例集の最初に設けました。

病院様へ⼊念なヒアリングを⾏い、
「あるある」と共感してもらえるような
職員様に⾝近な事例をピックアップ!

永松

掲載する事例を検討するにあたり、公益財団法⼈⽇本医療機能評価機構の了解を得て、全国1500以上の医療機関から収集した医療事故情報やヒヤリ・ハット事例をまとめている「医療事故情報収集等事業報告書」からも事例を抄出しました。全国的に報告数が多い事例や、重症事例など、職員様が患者さんと接するうえで知っておくべきだと感じた事例を選んでいます。

また、実際にトラブルが起こっているけれど、リスクマネージメントレベル(RM)が⼩さいという理由で報告書には掲載されていない事例も多々あります。事例集では「あるある〜」と共感しやすいネタを扱うようにしているので、頻繁には起こらないレベルの⼤きな事例よりも、普段の業務の中で起こり得るちょっとした事例を中⼼に紹介したいとも考えました。そこで、職員様にとってなるべく⾝近に感じられる事例を選ぶために、病院様との限られた打ち合わせの中でしっかりとヒアリングを⾏いました。職員様全員に関係していることを伝えられるよう「誰か⼀⼈が間違えただけ」という事例ではなく「⼀つの間違いが連鎖して事故につながった」事例を選んでいます。

⽯川

事故の事例を4コマという限られたスペースに収めることは⾮常に難しかったですね。しかし、今回であるある事例集は5冊⽬となります。いままでの経験をフルに活かしながら、病院様の意⾒でなにが重要なのか、重要な点を伝えるためにはどこを強調すべきか考え、イラストを作成しました。1冊⽬ではかなり悩んだ⼯程も、今回は⽐較的スムーズに進めることができたと思っています。

ユーモアに溢れた詩から、
「うんうん」と深く共感する詩まで。
医療・安全をテーマにした
「医療安全川柳」12選を掲載!

永松

事例集の内容を考える過程で、病院様から「医療安全川柳を掲載してはどうか」とご提案いただきました。毎年11⽉は、安全意識向上のための「医療安全推進週間」です。その⼀環として、全国の病院では医療安全川柳が募集されるのですが、⽔⼾⾚⼗字病院様でも多くの作品が発表されました。
医療安全をテーマとした川柳は、事例集の「誤認」というテーマにも合っており、病棟や部署ごとにユーモアや個性があふれる作品などとても優秀な作品が多かったためすぐに掲載を決定しました。病院様に選りすぐりの12作を選んでいただきました。
職員様それぞれの経験からどのような学びを得たのかなど、患者さんの安全に対する意識が⾒えてくる個性豊かなページになりました。

たくさんの⽅々にご協⼒いただき、2022年3⽉に無事『誤認あるある事例集』を発⾏することができました。私⾃⾝、今回の事例集を作成する過程で、医療のあらゆる場⾯に誤認の可能性が潜んでいることを痛感させられました。現場で患者さんに関わるすべての⼈にとって、今回の事例集が役に⽴つことを期待しています。

制作を進める中で、
印象に残った⽤語をご紹介します。


類似薬剤名“サクシン”と“サクシゾン”

  • ⼀⾒すると間違えるとは思えません。ところが電⼦カルテの検索画⾯で先頭の3 ⽂字「サクシ」と⼊⼒すると、サクシンとサクシゾンの両⽅が画⾯に表⽰されます。たくさんの業務を抱えながらスピードも求められる現場で、冷静に間違いなく正しい選択ができるのでしょうか。誤認しやすい⽤語を把握しておくことは重要なことだと実感しました。

過去に誤薬事例のあった類似名称例も、事例集の中でまとめて紹介しています。

まずは部署ごとに事例集の読み合わせを⾏い、院内研修にも使⽤します。⽔⼾市とその周辺の医療安全管理者が集まるネットワーク会議でも利⽤を勧める予定です。さらに、患者さんにも「名前(フルネーム)と⽣年⽉⽇を⾔っていただくこと」が事故防⽌につながることなどを事例集のイラストを⾒せながら説明し、協⼒をお願いしたいと思います。

病院概要

日本赤十字社水戸赤十字病院

所在地
〒310-0011 茨城県⽔⼾市三の丸3-12-48
開設
⼤正12年6⽉
病床数
<⼀般>432床 <感染>10床
ホームページ
http://mito.jrc.or.jp/

病院様と一緒に取り組んだ安全・安心のためのツール一覧

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